協会歴史・創始者紹介
MBL創始者
セシリア・ケスター女史
教育学修士・長年にわたり公立小学校の特別支援教育に従事
創始者セシリア・ケスター氏(1956-2020)の功績と生涯
セシリア・ケスター氏は1979年から活動を開始し、子供から大人まで発達に遅れのある人たちや配慮が必要な人達の教育に従事してこられました。通常の教育技法に限界を感じ、リハビリテーションやヨガを学び、発達促進に必要な運動を模索していました。
そのような折に、ポール・デニソン教育学博士の推奨する「ブレインジム」に出逢い、発達の土台を整えることの重要性に気づき、生徒たちが自分の才能を最大限に発揮できる運動を用いた発達支援を開始しました。
公立学校の教師を務める傍ら、セラピストとしても活躍し、特別支援教育とブレインジムを結び付ける講座「ブレインジム170」を発表し、その講座内で紹介される支援者と生徒が一緒に実践する、8種類の運動「ビルディング・ブロック・アクティビティ(BBAs)」を紹介しました。そして、ムービメント・ベース・ラーニング社を設立、これが、MBLの原点です。
ブレインジム170(BG170)、ムーブメント・ベース・ラーニング(MBL101)を系統立てて指導できるよう、分かりやすい2冊の教本としてまとめ上げました。これらを用いた指導者育成と教育相談の仕組みは、教育キネシオロジー財団より、優れた指導者としての表彰をうけています。
特別支援を必要とする子どもたちとブレインジムをつかった事例集「I Am the Child」(1998)、MBLの動きと教育手法を紹介した、「Movement Based Learning for Children for All Abilities」(2006)の2冊の著書も、6か国語に翻訳され発売されています。
晩年は、精力的に世界をまわり、後進の育成と運動療育の必要性を伝えていました。日本にも5回来日され、横浜・東京・福岡を中心にMBLインストラクターの養成とブレインジムの普及に尽力されました。
生徒やクライアントが能力を最大限発揮できるために役立つ特別な手法を、保護者や教師、各種療法家に提供することに心血を注いでこられた、セシリア・ケスター氏は、惜しまれながら2020年10月6日、天に召されました。
2018年日本国内に、MBLの拠点となる一般社団法人日本MBL協会を設立し、帰国するセシリア氏を見送った日が、最後の機会になるとは想像もできませんでした。
発達段階にそった無理のない運動と姿勢観察から心身に負担をかけずに発達を促進させていく、その教育的手法は、多様性のもとめられるこの時代に於いて、インクルーシブ教育の原点となると言えます。
彼女を尊敬する世界中のMBLインストラクターが今後、その意思と意識を伝えていくことでしょう。
文責:今道久惠
セシリアの言葉10選
1.身体は発達段階をおさらいし、パターンを学び、学び直す能力をもっています。
2.私達は常に「解決策の中に」いたいものです。
3.子供が安心安全を感じられる環境作りと気付きのお手伝い
車にのるときにシートベルトをするという意味での安全だけではありません。こどもたちには、もっと原始的なレベルで身体のレベルで、安心を感じる必要があります。
リラックスしたり、やすんだり、自分の体や周りの世界に好奇心をもつことができるだけの安心感 が必要です。
4.感覚や感情、思考に気付くための身体的安全性に、子供が五感できづくことができるようにすること。これが学習の前提条件です。
5.子ども達が自主的に学ぶように誘い、学習したいと思う気持ちを尊重する
6.結果ではなくプロセスを大切にする。
7.進歩をお祝いする。
お祝いをすることで、新しく学んだことを認め定着させるという目的があります。
8.子どもの探求心を大切にする
9.子ども達に一貫した期待を持ち続けること
10.自分と生徒の境界線を大切にすること
支援者が安心して自分の精神的、感覚的、感情的なニーズに対処できるような、明確な個人の境界線は、子どもにとっても、安全で包む込まれている感覚を確立するために不可欠です。